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 ついに大相撲の現役力士が八百長行為を認めた。古くは石原慎太郎氏が大鵬VS柏戸戦を指摘したり、週刊誌でも元力士の発言を記事にした。その度に国技大相撲は証拠不十分でなんとか名誉を保ったが、今度ばかりは物言いのつけようがない。
 私は子供の頃から相撲が好きで、家の知り合いに花籠部屋の後援会員がいて、チケットが手に入ったので、当時の蔵前国技館にたびたび観戦に行った。輪島と貴ノ花が揃って大関に昇進した頃で、その後北の湖、千代の富士の時代まではよく観ていた。大関貴ノ花が北の湖を破って初優勝した一番、富士桜VS麒麟児の激しい突っ張りあい、千代の富士が貴花田に敗れて引退を決意した相撲はいまだに脳裏に焼きついているし、当時の小泉首相が「感動した!」と言った貴乃花VS武蔵丸戦など幾多の名勝負がある。放駒理事長は「過去にはなかった」と言ったが、もしこれらの名勝負も八百長だったら、ファンに対しどう謝罪するのだろう。
 『佐野山』という噺があって、名横綱谷風が親孝行な佐野山という力士に情けをかけて負ける内容で、別名『谷風の情け相撲』と言う。この噺はもちろんフィクションだが、落語はある程度史実に忠実なので、情け相撲はあったと思うし、地方巡業の際はご当所の力士に花を持たせる慣習があるという。これはまだ「心技体」の「心」にあたるが、今回のような地位の保身や金銭が絡む一番は、けして情け相撲ではない。
 野球賭博に続き、文明の利器である携帯電話がまたも悪事に利用され、不祥事の度相撲協会は理事長を交代してきたが、現放駒理事長は現役時代からクり-ンなイメ-ジな人。やめずにすべてを隠さず公表して、この難題を解決(魁傑)してほしい。
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